----------ここに呼ばれた正式な騎士----------
自分のその言葉にその場にいた騎士達全員が驚いているのが見ても分かる。そう自分に向けられている騎士達の視線は疑惑と驚きと不審に満ちた眼であり自分がここに迎えられていない人間だとすぐに理解出来るほどの視線。
……大丈夫、しっかりしろ。私は間違った事は言ってはいない。
心の中で自分を勇気づけてから、ひと呼吸し騎士達に向かって
「私が女だから騎士として不服だと言うのか?」
きつく言い放ちながら自分を見る騎士達を1人ずつ睨み付ける。その場にいた騎士達はその言葉と睨み付けられた事で自分達が何で驚いているのか目の前の女性騎士には分かっていないのだと気づく
「いや……すまない驚かせてしまって、お嬢ちゃ……じゃなくって……」
状況に気づき最初に謝ったのはオスカーだった。オスカーは目の前にいる女騎士に
「先程の無礼は許してくれ。その…女の騎士だから驚いたわけじゃないんだ。改めて騎士として自己紹介をさせてくれ。俺はセフィーロ国から来た炎の騎士オスカーだ。そして同じ国の-----」
オスカーは後ろにいたオリヴィエの方を向きオリヴィエもそれに合わせて少し前に出て軽く会釈をしながら
「はじめまして、美の騎士オリヴィエです。」
そうして他の騎士達も次々と挨拶をしていく。急に変わった騎士達の態度に少々驚きながらも最後である自分の番の紹介になった。
「……は…はじめまして私はアンジ……いえ、アンシェリオンと言います。私は……ルーティス国の水の騎士の代わりとして来た……太陽の騎士です。」
その女騎士の言葉に騎士達全員が驚きの色を隠せない表情になり、鋼の騎士のゼフェルは
「おい、おい、嘘だろ?なんで太陽の騎士がここにいるんだよ?!!」
「??いてはダメなのか?」
何も知らないのか女騎士アンシェリオンは鋼の騎士ゼフェルの言葉を逆に問いかけ鋼の騎士は、その問いかけに何を言っていいのか分からない表情になる。
「……我々騎士と太陽の騎士との力の差がどれほどのものか知っているか?」
少しきつめの口調で光の騎士ジュリアスは女騎士アンシェリオンに問いかける。
「……いえ、私はその……あまり詳しくは知らないのです。聖騎士の側近の騎士という事ぐらいしか……。」
-----そう…父は私がいくら聞いても聖騎士や聖女王に関しての事はあまり教えてはくれず私が聞く度に父は悲しそうな顔をするので、いつの間にか聞くのを止めてしまった。
光の騎士ジュリアスが女騎士アンシェリオンに分かるように簡単に説明をし始める
「……太陽の騎士と月の騎士の2人が合わさった力が聖騎士と同等の力と言われ、4つの大国に2人ずついる我々騎士……まあ水の騎士はここにはいないが……それは置いといて……我々騎士8人と放浪の地の騎士1人の合わせた9人の騎士の力が太陽の騎士叉は月の騎士と同等の力と言われている。……分かるか?」
女騎士アンシェリオンは少し考えながら
「はい……太陽の騎士は9人の騎士達の力と同等と言う事は……」
「そうだよ!!全然勝ち目がないんだよ!俺達、騎士は!!」
女騎士アンシェリオンが言い終わらないうちに横から鋼の騎士ゼフェルが口を挟んで来た。その言葉に女騎士アンシェリオンは申し訳ない表情をしながらも
「……それでも……私は……この聖騎士の継承の試合に出なければならない。私が知りたい事を知る為にも……。」
女騎士アンシェリオンがそう言いながら右手の手袋を外す。その手には神器の手甲がはめれていて、その手甲の紋章を見て騎士達は改めて目の前にいる女騎士が太陽の騎士だと確信をした。
「……知りたい事を知る為に……それは聖騎士殿が言った事なのか?」
騎士達が驚いている中、ただ1人無表情だった闇の騎士クラヴィスが口を開く。女騎士アンシェリオンはうなずきながら
「…そうです。私にこの試験に出るように言ったのは聖騎士殿です。」
騎士達がざわめきたつ。力の差は歴然なのに聖騎士が出る事を勧めたと言う事は目の前にいる女性騎士に聖騎士の後継者に決めたと言ったようなものなのだから当たり前のざわめきであった。
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