『アリス』
ウルが好き……愛してる……。この気持ちはいつの頃から始まったのだろう?
ウルと初めて会った時?ウルが私を守ってくれた時?
そんな事を考えながら彼を見る。
ウルの全てが好き……髪も眼も口もしぐさも……
「なっ…!!どうしたんだ?アリス??」
私はいつの間にか彼の腕をつかんでいて、そんな私の行動に驚く彼。
「ご……ごめんなさい。なんでもないの」
……彼の腕も好き……。そう思いながら彼の腕から離れようとした時、ウルの手が私の手を止める。
「……へへっ、いいじゃん。このままでいようぜ」
「…うん」
少し得したような気分になりながら彼の腕にもたれるように寄り添ってみる。彼のにおいがする。きっと……初めて会った時から彼の中にある心の欠片(かけら)を少しずつ私が知った時から始まったのだ。彼の心の欠片(かけら)に触れる度に私の中の想いも育っていく。きっとそうやって今の想いがあるのだと確信する。
「……ウル」
少し甘えたような声で彼の名前を呼んでみる。彼は私を見つめ照れたように
「なんだか今日のアリスはいつもと違って……なんと言うか」
「……変??」
自分でも自分らしくない行動に少し戸惑いながらも彼に嫌われただろうか?と不安が私を襲い彼を不安げに見つめ返す。
「いや……何だか得した気分って感じ?……それに……」
「?それに?」
「……それに俺…アリスとならいつでもこうしていたいし……」
彼の言葉にウソも偽りなくただ、ただ、正直に自分の心のままに話す彼。だからかな?最近私も自分の思うように言うようになってきたと思う。だって昔の自分を思いだすと考えられないもの。
「…うん私も。でも……やっぱり今も少し恥ずかしい……かな?」
彼の言葉に賛同しつつも、やはり周りの視線が気になってしまう。なので今回の行動は私にしてはすごい事だと自分でも思ってしまう。
「だと思った。アリスが大胆になる事なんて早々ないもんな〜。俺はいつでも大歓迎なんだけど」
子供のように笑う彼。そんな彼の笑顔を見ると胸が熱くなり幸せを感じる私。彼が好き…愛してる……。彼のいい所も悪い所もたまに喧嘩をする所もわがままな所も少し強引……ううん結構強引な所は……少し直してほしいけど……でもきっと全部ひっくるめてウルがウルである事が嬉しくて彼と出会えた奇跡に感謝せずにはいられない。
「ウルが……好き…」
小声でそっとつぶやく
「えっ?なんか言った?」
「……ううん、なんでもないの」
私は願う。いつまでもこの時が続く事を……。
END
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